突然、失礼します。
結論から言いますと、コワーキングスペースカジヤノは今もマイペースに運営中です。
それだけを伝えたくて、このお知らせをしたためております。
経緯
2020年2月、コロナの拡大とオーナー夫婦のプライベートの変化を理由に、人が集うコワーキングスペースとしての営業はいったん休止とアナウンスしました。同年に母体が法人化したこともあり、とりあえずはそのオフィスという位置付けとし、常設のコワーキングスペースとしての再開とはならないまま年月が過ぎました。
ただその間も、以前ほどではないにせよさまざまな方がここを訪れ、配信型のトークライブやワークショップ、イベントが行われるなど動きはありました。コロナ期に3密とこどもたちのストレス対策で実施していたコミュニティ型農園活動での出会いがきっかけでスタッフに加わってくれる仲間が現れるなど、それまでに蒔き続けた種が思いがけず咲くようなことも起こり、年月の力を感じる経験もありました。
2025年の5月からは月1回の「みんなのひ」を開始。すると最近使われていなかったキッチンを使ってお菓子作りをしたいという人が現れたり、移住して間もない人々が訪れたり、地元出身でUターンしたカメラマンがいろんな人とつながったり。私たちにとってはちょっと懐かしいような流れが加速していきました。
それでも、黎明期とはうってかわってデベロッパーや大手資本も参入し本格的な設備を備えたコワーキングスペースが増える中、部分的に再開するにしても「コワーキングスペースと名乗っていいのだろうか」という葛藤は消えることがありませんでした。
転機(気づき)
そんな中、この場所が10周年を迎える節目で「みんなのひスペシャル」としてイベントを企画。カジヤノにさまざまな形で携わってくださった皆さんとのつながりが、いっそう深まるような機会となりました。


そして、ご参加は叶わなかったのですが、イベントにご招待したカフーツの伊藤さんから
「コワーキングスペースを紹介するYouTube番組に出てくれませんか」
と、まさかの逆オファー。
伊藤さんといえば、日本初のコワーキングスペースとして知られるカフーツのオーナーでありコワーキング協同組合の代表を務めておられ、海外の最新事情を日本にもたらしている業界の重鎮です。
「いえ、うちは今コワーキングスペースとしては運営できていないんです、、、」と恐縮してお返事したものの、開設以来のエピソードや現在進行形のあれこれをお話すると「いやいや、それがまさにコワーキングの本来の姿なんですよ!」とお墨付き?をいただき、配信当日も大いに励ましていただきました。
「カジヤノは今もコワーキングである」
まさに目からウロコ、嬉しい驚きでした。
そうなると、いろんな話が変わってきます。
「直接お金になるわけでもなく会社の事業でもないし、でも大事だしなぁ」と、発信するでもなく(情報の置き場がなかったこともあります)個別に対応してきた移住や起業の相談、キッチンの活用などが「コワーキング」の一部として新たな意味を帯びてきます。
休止状態だった当サイトのコンテンツやSNSの紹介文も見直し、会社とスペースの切り分け(スペースのほうが自由度が高い)など情報の再構築を開始。
そうして気づいたのは、
「(兵庫のまんなか)人と情報の交差点。」
「リゾートコワーキング」
という開設当初のコンセプトは、よく考えたら何も変わっていないということでした。
種を蒔き続ける地域のコワーキングスペースとして
「営業日」はありません。また、「定休日」もありません。
「ぼんやり起業を考えているんですが相談に行っていいですか」「おもろいもん見つけたからこの日に寄るわ」と、この場所で人と情報が行き交い、すぐにではないかもしれないけど、ときには忘れた頃に、思いがけない形で花が開く。
そんな、コトを中心に成立する、ゆるやかな形態のスペース。それがカジヤノだと思っています。
宿り木のように、ここに巣を作っていただくのももちろん嬉しいですし、その後卒業しても、なんならここを過ぎ去っていくだけでもいい。この場所があることで、その人たちの人生にバタフライエフェクトのような小さな変化が生まれ、のちに思いがけないストーリーを聴かせていただけたり、ご一緒できたりすること。それが多様な人の行き交うスペース運営の醍醐味であり、長い目で見たときのご褒美だと思っています。
この場所で生まれ、育ち続けるご縁に感謝いたします。どうか今後ともよろしくお願いいたします。
山口貴士